ベイト剤の効かないゴキブリが現れた!?

1990年代後半から、ジェル状のベイト剤(食毒剤)をどれだけ処理しても効果が現れない現場が出始めたそうだ。つまり、ベイト剤を食べないゴキブリが出現したということ。その原因が『食べ飽き現象』だという人が出てきた。

『食べ飽き現象』を提唱する辻 英明博士

ゴキブリンに複数の餌を与え、特定の餌を選んで何日も食べ続けはするが、しばらくすると別の餌を選んで食べるようになる。このような同じ餌をある期間食べ続けると餌の好みが変わる現象のことを『食べ飽き現象』と提唱したそうです。/p>

『食べ飽き現象』は適当ではないとする富岡 康浩氏

富岡氏によると、難防除化したゴキブリは、ベイト剤を飽きるまでは食べていないのに食べなくなることは『食べ飽き現象』という言い方は適当ではない、といっています。

嗜好が関係して生き残るグループが生まれる!?

ゴキブリに、ある種のアルコールや糖を餌に混ぜて与えると、摂取量が増えるという。なので、ベイト剤にこのようなものが喫食促進物質として配合されている。

ブドウ糖を混ぜたベイト剤はほとんどのゴキブリに有効で、しかしそれを続けるとブドウ糖が嫌いなものが生き残り、それが繁殖繰り返してついにはブドウ糖入の餌を食べない集団ができてくる。これは米国でも日本でも見られるという。

また、ブドウ糖を食べないゴキブリは、ショ糖・果糖・麦芽糖など6種類もの等を食べなくなったという。

食べても死ななくなる生理的抵抗性

ブドウ糖が入った餌を食べなくなってベイト剤が効かなくなることを行動的抵抗性という。その他に食べても死ななくなる生理的抵抗性というものもあるようだ。

例えば、昔、ゴキブリ駆除によく使われた塩素系殺虫剤のディルドリンの抵抗性遺伝子を持つゴキブリは、最新の別系統の食毒成分フィプロニルにも抵抗性を示すという。

抵抗製の発達を回避するためには同じ系統の薬剤を使わない

ゴキブリだけでなく、ハエ(蝿)でも殺虫剤が効かないものが現れているという。このような殺虫剤抵抗性の発達を回避するためには、同じ系統の薬剤を続けて使用しないことが大事だという。

そのためには、殺虫剤以外の方法を使って駆除・退治することが望ましいという。例えば、天敵を利用するなど、複数の、他種類の方法をローテーションで順繰り繰り返して抵抗性・耐候性を持たせないように使用していくことが今後の課題となるようだ。

従来の殺虫剤が効かない「スーパーゴキブリ」が出現!?

「スーパーゴキブリ」という言葉を聞いたことがあるだろうか。従来の殺虫剤が効かないゴキブリのことをこう呼ぶそうだ。駆除剤が効かない種が生き残り、それが世代交代を重ね、薬剤に対する抵抗性・耐性のゴキブリが生まれるという。また、食毒剤(毒餌)が効かないものも現れている。

チャバネゴキブリは耐性を獲得しやすい

ゴキブリ駆除剤を販売するライオンによると、この30年ほど殺虫剤の効かない「薬剤抵抗性ゴキブリ」が東京都市部を中心に増加傾向だという。ライオンは、その薬剤抵抗性ゴキブリを想定して開発された商品を発売したそうだ。

特に、生後2か月ほどで親になり、1年に3~4世代交代という早いサイクルを繰り返すチャバネゴキブリが抵抗性・耐性を持ちやすいそうだ。なぜなら、ある薬剤に強い個体が生き残り、そうした個体同士が子孫を残し、次第に薬に強くなっていく、という仕組みのようだ。

体内に寄生する細菌が殺虫剤を分解していた!?

害虫の体内にいる最近の働きが抵抗性・耐性に関与!?

害虫が殺虫剤耐性を持つようになった原因として「遺伝子の突然変異」が考えられるそうだ。産業技術総合研究所や農業環境技術研究所などの共同チームが、米国科学アカデミー紀要(PNAS)に発表した論文で「害虫の体内に共生する細菌が殺虫剤を分解し、宿主に殺虫剤耐性を持たせている」ということを発見したとしている。

世界で広く使用されている殺虫剤「フェニトロチオン」を使用するサトウキビ畑から「バークホルデリア」という細菌を採取して調べたところ、同細菌がフェニトロチオンを分解できること、また同細菌を体内共生させている害虫は同殺虫剤に対して高い抵抗性を持つことが確認されたとのこと。

一方で、この殺虫剤の散布回数が少なかったりその使用量が制限されている畑では、細菌と害虫の協力関係は見られなかったそうだ。細菌は繁殖サイクルが早く、1日の間に複数世代にも増殖するため、短期間で殺虫剤耐性を獲得することができる。そのため、昆虫が殺虫剤耐性を獲得するまでの期間もこれまで考えられていた以上に短いことになる。

農作物を害虫から守るには殺虫剤を分解できる細菌さえ寄せ付けなければ良いわけで、殺虫剤のターゲットは今後害虫だけでなく細菌も対象になるのかもしれない。

殺虫剤耐性を獲得した害虫、実は体内に寄生する細菌が殺虫剤を分解していた| スラッシュドット・ジャパン サイエンス

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